副作用という言葉は知っていても、どんな副作用があるのか知らない方は多いのではないでしょうか?
ここでは、よく知られた副作用から、あまり知られていない副作用までを紹介します。きちんとした知識を付けておけば、もしもの時に役にたつはずです。
副作用の種類 | 副作用をもたらす成分 | |
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■ | ショック (アナフィラキシー) |
グロモクリク酸ナトリウム・ケトプロフェン等 |
薬の成分に対して即、アレルギーが起こること。発症頻度は低いですが、以前に薬の使用によって蕁麻疹(じんましん)等のアレルギー反応を起こしたことがある人に起きるリスクが高いとされています。
症状としては、顔や上半身の紅潮・熱感・皮膚の痛み・蕁麻疹・口唇や舌、手足のしびれ・むくみ(浮腫)・吐き気・顔面蒼白・手足が冷たくなる・冷や汗・息苦しさ・胸苦しさ等が現れ、 発症すると急速に症状が進行してチアノーゼや呼吸困難等を生じます。発症してから進行が2時間以内なので救急車を呼ぶなど適切な対応が遅れると致命的な転帰をたどるおそれもあります。
副作用の種類 | 副作用をもたらす成分 | |
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■ | 皮膚粘膜眼症候群 (スティーブン・ジョンソン症候群) |
塩化リゾチーム・塩酸ロペラミド等 |
38℃上の高熱を伴って、発疹・発赤・火傷等の水疱の激しい症状が比較的短期間に、全身の皮膚、口、目のの粘膜に現れる病態。
発症頻度は人口100万人当たり年間1~6人と報告されています。発症原因は明確にされておらず、発症の予測は困難です。
最初に報告した二人の医師の名前にちなんでスティーブン・ジョンソン症候群、略称SJSと呼ばれています。
副作用の種類 | 副作用をもたらす成分 | |
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■ | 中毒性表皮壊死症 (ライエル症候群) |
塩化リゾチーム・塩酸ロペラミド等 |
全身が広範囲にわたって赤くなり、全身の10%以上に火傷様の水疱・表皮の剥離・びらん等が認められ、かつ38℃以上の高熱・口唇の発赤・びらん・目の充血の症状を伴う。
SJSの進展型と言われています。発症頻度は人口100万人当たり年間0.4~1.2人と報告されています。SJS同様に発症原因は明確にされておらず、発症の予測は困難です。
最初に報告した二人の医師の名前にちなんでライエル症候群、略称TENと呼ばれています。
*SJSもTENも非常にまれではありますが、いったん発症すると皮膚症状が軽快した後も目や呼吸器官等に障害が残ったり、 多臓器障害の合併症等により致命的な転帰をたどることもあります。
といった症状の持続や急激に悪化するような場合は、薬の使用を中止して、皮膚科の専門医の診断を受けましょう。
特に、眼の異変は皮膚の変化よりも半日から1日程度先に現れ、両目に急性結膜炎(結膜が炎症を起こし充血、目やに・流涙・痒み・腫れを生じる病態)が起こることが知られていますので、SJSもTENの前兆と考えられます。
SJS、TENともに原因となる薬を服用後、2週間以内に発症することが多いですが、1か月以上経ってから起こることもあります。
副作用の種類 | 副作用をもたらす成分 | |
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■ | 肝機能障害 | アスピリン・イブプロフェン等 |
自覚症状はみられないことが多く、健康診断の血液検査で初めて判明する場合があります。
症状としては、全身の倦怠感・黄疸のほか、発熱・発疹・皮膚の掻痒感・吐き気等を生じます。
黄疸とは、ビルビリン(胆汁色素)が胆汁中に排出されずに血液中に滞留して、皮膚や白目を黄色くする現象のことです。
副作用の種類 | 副作用をもたらす成分 | |
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■ | 偽アルドステロン症 | グリチルリチン酸・カンゾウ等 |
体内に塩分(ナトリウム)と水が貯蓄し、体からカリウムが失われる副作用。副腎皮質からのアルドステロン分泌が増えていないにもかかわらず生じることから、 偽アルドステロンと言われています。
症状としては、尿量の減少・手足の脱力・血圧上昇・筋肉痛・倦怠感・手足のしびれ・頭痛・むくみ(浮腫)・喉の渇き・吐き気・嘔吐等がみられ、進行すると筋力低下・起立不能・歩行困難・痙攣等が生じます。
副作用の種類 | 副作用をもたらす成分 | |
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■ | 病気等による抵抗力の低下 | 薬の使用が原因 |
薬の使用が原因で、血液中の白血球が減少し、病気等に対する抵抗力が弱くなり、突然の高熱・悪寒・喉の痛み・口内炎・倦怠感等の症状を生じることがあります。
進行すると重症の細菌感染を繰り返し致命的となるおそれもあります。特に高齢の女性や腎臓の働きが低下している人に起こる割合が高いとされています。
副作用の種類 | 副作用の症状 | 副作用をもたらす成分 | |
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■ | 精神神経障害 | 集中力の低下・不眠・不安・振戦・興奮 | オキセザイン・カフェイン・ビスマス等 |
■ | 無菌性髄膜炎 | 急性の激しい頭痛・発熱・吐き気・嘔吐・意識混濁 | イブプロフェン等 |
■ | その他 | 頭痛・めまい・浮動感・眠気・倦怠感等 | 抗ヒスタミン成分・メトカルバモール等 |
副作用の種類 | 副作用の症状 | 副作用をもたらす成分 | |
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■ | 胃腸 | 消化性潰瘍・イレウス様症状(腸閉塞様症状)・吐き気・嘔吐・食欲不振・口内炎等 | アスピリン等 |
■ | 呼吸機能 | 間質性肺炎・喘息 | 小柴胡湯・アスピリン等 |
■ | 心臓や血圧 | 鬱血性心不全・心室頻拍・動悸・一過性の血圧上昇・顔のほてり等 | 塩酸メチルエフェドリン・塩酸プソイドエフェドリン等 |
■ | 排尿機能や尿 | 腎障害・排尿困難・尿閉・膀胱炎様症状 | 抗コリン成分等 |
■ | 目、鼻、耳 | 眼圧上昇・一過性の散瞳による異常な眩しさ・目のかすみ等 | 抗コリン成分等 |
■ | 皮膚 | 接触性皮膚炎・光線過敏症・薬疹・焼灼感・熱感・乾燥感・腫れ等 | ブフェキサマク・ケトプロフェン等 |